たぬきのマンガ夜話~別冊~野球マンガ考察その2<高校野球編2~大甲子園1>

久しぶりのこのカテゴリは前回の続きw

水島先生、「ドカベン」終了後、どうも高校野球マンガの集大成を書きたくなったらしい。わざわざ、集大成に新しい学校を加えたいようで、そこで執筆したのが「ダントツ」。このマンガは「球道くん」「ドカベン」がストーリーにリンクしていて、このあと述べる「大甲子園」の前段となっている。

で、「大甲子園」だ。水島キャラが躍動するパラレルワールドだ。時代的な整合性は置いておいて開始された。しかし「ドカベン」で、重要キャラクターの里中を退部させた水島先生は、この復帰から描き始めなければならなくなってしまった。

ご都合主義と言ってしまえばそれまでなのだが、そもそもマンガはすべてご都合主義なのでまあ良しとしよう。しかし、かなり無理があり、またドカベン時代にはなかった当時の流行歌が吹き出しに・・・といって読み返したら結構あるな。「ピンポンパン体操」やら「Young Man」やら。

で、岩鬼Vs里中のランニング対決で、岩鬼が口ずさむのは「野バラのエチュード」・・・この手の流行歌や流行語を使うストーリー展開は両刃の剣で、時代的整合性を無視するべきかどうか、読者を悩ませる。

さておき里中は再入部して、件のメンバーと甲子園を目指す。復帰第一戦が県大会決勝。ここで白新高校と壮絶な試合をする。よく考えると不知火は三年間にわたって県内最大のライバルだったのだが、決勝進出は初めてだ。

白新高校の9番白山はスイングが小さく、バントのようなファウルを打つのだが、これは実際の甲子園でも後年再現された。因みにバントの定義は下記の通り。

17.バントの定義
バントとは、バットをスイングしないで、内野をゆるく転がるように意識的にミートした打球である。自分の好む投球を待つために、打者が意識的にファウルにするような、いわゆる“カット打法”は、そのときの打者の動作(バットをスイングしたか否か)により、審判員がバントと判断する場合もある。
(規則6.05(d))

要は審判の判断なのだが。好打者と印象づける展開だが、ま、好打者なら9番は打たないか(笑)。

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たぬきのマンガ夜話~別冊~野球マンガ考察<高校野球編1~ドカベン>

先日、「ラスト・イニング」について書いてみたが、野球マンガというのは一つのジャンルが構成できるほど数が多い。力作、快作、怪作が多士済済の野球マンガについて、話を進めてみたい。

ひとえに野球マンガと言っても、その環境で大きく分類することができる。シンプルに分ければ高校野球とプロ野球だ。どちらも何しろ数が多いのでまずは高校野球編から行ってみようかと思う。

高校野球マンガと言えば「ドカベン」 作:水島新司。異論はあろうが、私の年代ではパイオニアである。

 ドカベン

「ドカベン」1巻から48巻
秋田書店少年チャンピオンコミックス刊。

この物語は中学編から始まる。鷹丘中学校に転校してきた主人公山田太郎と、もう一人の主人公といっていいだろう岩鬼正美の出会いからストーリーが進んでいく。
当時すでに、野球マンガの第一人者として活躍していた水島新司が、他紙で「男どアホウ甲子園」を連載していたために、何故か柔道マンガとして始まる。
実はこの柔道編がいい味しているのだが、ここはまた別の機会に。

ある事情で野球をやめていた山田太郎が、再び野球を始め中学の野球大会に出場する。
岩鬼の他、殿馬がチームメートとなる。殿馬は顔はアレだがいろいろと才能のあるキャラクターとして描かれ、人気を博す。
そして、高校に進学し、里中と出会う。ここで明訓四天王の誕生だ。里中のフルネームは当時親交のあった里中満智子にちなむ。

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