たぬきのMusic Chronicle~第5回~佐野元春Part2

前回の続き。

福生の仙人、大瀧詠一と出会った元春は、ナイアガラ・トライアングルの参加を持ちかけられる。トライアングルもう一人のメンバーは杉真理。

今でこそ、コラボレーションは普通だが、当時レコード会社、事務所も違う3人の組み合わせは考えにくいことだった。
奇跡的なコラボレーションが実現したのは、関係者間の調整が長引くことを嫌がった大瀧が杉のイベントライブのステージ上で、「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」の制作を発表したためだ。

既成事実を作って関係者間の調整をする方法は、その後一般化していく。ちなみに、その杉真理のライブのゲストが大瀧で友情出演が元春だった。

元春がラジオで話していた話を要約すると、SOMEDAYのアイデアは大瀧のレコーディング風景から生まれたそうだが、大瀧のレコーディング風景から生まれた曲を大瀧が聞いて、そしてコラボというこの流れにより、元春の楽曲に色が加わったのは間違いないだろう。

徐々ににアルバムセールスも上昇して、認知度も高まったところで元春は突然ニューヨークに旅立つ。直前にリリースしたアルバム「No Damage (14のありふれたチャイム達)」がオリコンで1位を記録し、セールス的にこれからだというところでだ。

「VISITORS」
それまでの元春の楽曲は、シンプルなロックンロールから始まって、フィル・スペクターばりのウォール・オブ・サウンドを踏まえた、いわば現代のオールデイズとも言うべき、耳に馴染みやすい楽曲が多かった。

しかし、ニューヨークでレコーディングされたこのアルバムは衝撃的だった。
耳に馴染みのない日本語ラップ、今までと全く方向性の違うテンション、一言で言うと「異質」。
このアルバムを最初に聞いたときに、口をぽかんと開けたまま暫く放心していたのを覚えている。

メジャーレーベルのアルバムにおいて、日本のミュージシャンとして最初にラップを取り入れたのは、元春だと断言する。(異論拒否(笑))
アルバムのセールスは良かったらしいが、私の周囲でもその先見性は賛否両論だったな。

その後のライブではこのアルバムに収録された楽曲も演奏しているのだが、あまりに違いすぎて調和が取れないのか、全く違うアレンジで演奏されている。

この頃の音楽的に尖っていた元春は、今でもものすごく格好良く見える。
大瀧詠一と「VISITORS」だけで今回はおしまい。

次回に続く。

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