たぬきのマンガ夜話~第2回~「獣医ドリトル」

今回の内容は「獣医ドリトル」 原作:夏緑 作画:ちくやまきよし

 Dolittle

「獣医ドリトル」1巻から19巻 最終20巻(2014年11月28日発売予定)
いずれも小学館ビッグコミックス刊。

 設定自体はBJパターン。
この手の設定の王道であるが、安楽死なども取り上げていて、様々に問題提起をする。
患畜の治療とともに飼い主の心まで踏み込んで治療する獣医。

主人公の名前は鳥取健一。通称ドリトル。
動物の言葉が理解できると言われている。本人はそう呼ばれるのをいやがっている。
金には汚く「獣医はビジネスだ。」が口癖だが、患畜には優しい。腕は一流で傷口の縫合スピードなど、かなり。

物語はドリトル院長の鳥取動物病院に多島あすかが治療を依頼するところから始まる。
自分と同じ名前のアスカミライがレース中に骨折し、安楽死処分となるところを阻止し、ドリトルの母校の富沢教授にドリトルを紹介される。

しかし、莫大な治療費がかかるため、その治療費を払うために鳥取動物病院で動物看護士として働くことになる。

通常、競走馬の骨折は獣医が「予後不良」という診断をした場合、安楽死の処置をし、「競走能力喪失」ならば安楽死の処置はされない。

「予後不良」と診断されて、安楽死となる理由は、通常あの細い4本の脚で500キロの体重を支えなくてはならず、これが3本になれば、支えることが難しくなってしまうからである。

仮に治療する場合、蹄の内部が壊死してくる蹄葉炎を併発する可能性が高く、治療法も胴体を吊して行うなど馬のストレスも大きく、またその世話をするに当たっても非常に手間がかかる。
その状態から、競走能力喪失まで復調させるのは並大抵のことではない。
手間がかかると言うことは、治療費がかかると言うことだ。

導入部はそのあたりがわかりやすく書かれており、動物好きを引き込んでいく力がある。

初期はドリトルがかなり意地悪に見える部分が多く、また絵も割と素朴な上、テーマとしては地味なので、単発で終わるだろうと思っていた。

しかしこのマンガもご多分に漏れずドラマ化され、そのあたりから増刊連載から本連載となり、今年の9月に終了するまで続いたが、絵がこなれてきて線が柔らかく、また主人公の表情も豊かになってきた。
特にあすかがどんどん可愛くなっていったのには・・・(^^ゞ

登場人物の名前は、そのときの患畜にちなんだものが多く、なかなかユニークだが、さほどの無茶なネーミングはない。

毎回毎回、動物豆知識のような話や、ペットに対する飼い主の心構え、エキゾといわれる特殊なペットや大型動物の治療、両生類や昆虫、種の保存まで幅広く網羅し、またリアリティの高い話などよく練られていて、長期連載となった。

最終回間近ではドリトルの生い立ちなどが明かされるが、それに関わる人々がすべて善人で、最終的にドリトルに共感するようなストーリーとなっており、また、ドリトルも人間的に丸くなり大団円となる。

大筋が1話完結だが、たまに長編となることもあり、また途中に、様々なコネタが入っているのも楽しみで、忙しいドリトルが短い休憩時間にとる食事は謎丼と言われ、何とも言えない味わいだ。どんな食事かというと、ご飯、豆腐一丁、生卵、納豆、ネギを丼と言うより鍋に全部入れてかき混ぜる。味付けはどうなってるんだ?(笑)
カルテ131~体に良い食べ物~で、2杯食べるシーンがあるがお茶目だ。

個人的には、そこに垣間見えるドリトルとあすかの仄かな恋愛感情?の発展も楽しみだったが、そこまでには至らなかったな。

エピソードとしてはカルテ9~沈みゆく鳥~カルテ70~その男、悪徳獣医カルテ81~消えた言葉~カルテ84-86~サラマンダー・レポート~カルテ135-137~空飛ぶ獣医~カルテ152-155~ファインディング・ミモザ~が秀逸。

特に、カルテ152-155~ファインディング・ミモザ~でのカリスマ獣医花菱とドリトルの会話がいい。(本編より引用)

「なぜミモザは助けられてネズミは助けられないのだろう?」
「ミモザには飼い主も支援者もいるが、ネズミには金を出すスポンサーもいない。勝手と勝手、エゴとエゴ、命と命がぶつかって淘汰されて、そうやって生態系が出来上がるんだ。必死に守らなくちゃ人間の文明だってすぐ他の生物に侵略されて淘汰される。それを守るのも獣医の仕事なんだ」

名言。ドラマをご覧になった方は、是非原作を読むことをがおすすめする。

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